2012年6月26日火曜日

次の街アクシデントの末に・・。




大学生は土日も期末試験に追われてお尻に火がついた状態。
出るなら今だ。
そろそろ武漢を出ないともう本当にこの街に住んでしまいそうだ。

最後の一週間も結婚式やお祭り、バーベキュー、大學副学長との食事、日本語を学ぶ学生との交流会などに参加し、残りの時間は大切な友達と過ごし、充実した生活を送っていた。

次の目的地は武漢の郊外にある小さな街“漢川”。
そんなに遠過ぎず久しぶりに全荷物を載せての漕ぎ出しにはちょうど良い距離。
今回3週間泊めてくれた周さんと、前回冬に3週間泊めてくれたザンウェイさんが一緒にこの街まで走ってくれた。ある大學の自転車サークルや、個人的な友達も「出発の日は一緒に走る!」と言ってくれたけれど、彼らは来週、山のようなテストがあることを僕は知っていた。そして優しい彼らはテストがあろうとも、一緒に来てくれる事も知っていた。だからごまかして、内緒で出発させてもらった・・。



今日走った76km、『一路平安』のはずが、思わぬアクシデントに見舞われてしまった。僕ではなく、他の二人が・・。

中国は車は右側、歩行者は左側がルール。一応・・そうなっている。
僕らは20m程間隔を空けながら幹線道路の右側を走っていた。正面から50ccのバイク一台におじいちゃん、おばあちゃん、おかん、子供の4人がノーヘルでこちらに向かって来た。僕は「なんだよー・・」と思いながらもいつものようにぶつからないようよけ、ザンウェイもよけた。しかし周さんはよけ切れず接触し、バイクもろとも大転倒した・・。
僕とザンウェイは暢気に歌を歌いながら走っていたが、
後ろからの大声とぶつかった時の音で直ぐ気づき、振り返る。
地面に転がる五体・・オーマイガ。

Uターンして彼らの元に戻ったときにはもう喧嘩が始まっていた・・。
ここ最近毎日毎晩のように町中で喧嘩している人々を見ていたので、「あぁまたか・・。」と一瞬あきれてしまったが・・何、夏の暑さのせい?
そんなバカなこと言っている場合じゃない。





素人が状況から判断しても明らかに相手が悪いのだが、必死に大声を上げて抵抗するおじいちゃん。普段おしとやかな周さんも今度ばかりは頭に来て負けずに対抗する。ザンウェイは何も言わないが、小さくて少し頼りない周さんのすぐ後ろで筋肉をチラつかせる。僕は静かに救急箱を取り出し両者の間にすっと入り込み、「はい、座って、足出して。おじいちゃん。」「周さんも、肘見せて。」消毒して薬を塗っている間も僕の頭上では小競り合いをしている。大人の間に挟まれ、次第に泣き始める小学生の男の子。風船を2つ膨らまして渡すと少し落ち着いてくれた。
おばあちゃんも負けじと周さんに対して叫んでいたが、順番になると擦りむいた足をすっと出して来た。「大丈夫?痛かったね・・。」ちょっとの薬と日本語と笑顔で手当てして回った。



「子供泣いているでしょ。お互いごめんなさいと、ごめんなさい。それでいいでしょ!!」
最後は結局僕も入り、日本人だと言う事にビックリしていたが、それで逆に相手も諦めてくれた。
バイクは破損しエンジンがかからず、近くの修理屋まで押していく。最後何も言わずに立ち去った孫とおじいちゃんの背中が少し寂しかった。



一難去ってまた一難。
ザンウェイが僕の自転車に乗ってみたいと言った。
今まで荷物満載で乗れたひとはいなかった。いつも全くペダルが動かないか、1m先で倒れていた。
しかし、彼も自転車乗りだし、もうしばらく会えないんだと思うと気が許してしまい、彼のマウンテンバイクと一時的に交換した。
蛇行しながらも見事にこげている。後ろから見るとこんなに異様な光景だったのか。もはやこの大きさは自転車ではない・・。
自分の走る姿をザンウェイに重ねて想像をしていた。すると・・。
「ドーーーン!・・」
道路に空いた穴を避けようとしてバランスを崩したのか大転倒。

今日は道路に転がった人間を6体見た。

道路の真ん中で自転車の下敷きになったザンウェイを引っ張り出すも、膨れた荷物のお陰で大きな怪我無く済んだ。



目的地の場所に着いたのは夜7:30。まだ外は明るく、2月に走っていた当時、日暮れまでに着きたいと4時くらいから焦り出していたのが遠い昔のよう。

先月の新聞記事で、ある信頼できる友達のジャーナリストが記事を書いたところ、全国各地から泊まる場所を提供してくれるという声がweibo(Twitter)などを通して届いた。僕の考えや声が広く届くのはとても嬉しい事なのだが、もうメディアには必要がない限りでないと決めた。携帯番号も代えた。そのジャーナリストが最後と決め、対談以来、彼女の元に北京や広州・上海・香港など各地からメディアが殺到したが彼女はあっさり「自分の力で探してください。」と跳ね返す。カッコい。

今夜泊まらせてもらう家族もそんな経緯から知り合った善意に満ちた地元の方。今年大學に入る女の子とお母さん、その知り合いの6歳の女の子親子と暮らしている。その6歳の女の子がまた可愛いのだがいたずら好きで、僕がシャワーを浴びていてもペットのミドリ亀を持ちながら入って来たときは参った・・汗。エレベーターなしのマンションの6階の為、知り合いのお店に自転車と荷物を保管させてもらった。

ザンウェイ・周さんが武漢まで帰るタクシーを見送り、
今日は迎えに来てくれた人たちと韓国料理、という名の中華料理。
もうこの瞬間、ビールがあれば何もいらない、幸せ。



夜荷解きをしてみたら、昼間の転倒でMacBook Airのスクリーンが破損していた・・。でもザンウェイが死ななくて良かったよ。転倒直後、実はすぐ後ろからモンスターのようにでかいトラックが来てた。ホントこれからだってどうなるかわからない。
でも、僕のよく当たる“感”と“胸騒ぎ”はまだないから大丈夫だろう。


武漢・武昌 to 漢川
走行距離: 76.27km
平均速度: 17.6km/h
最高速度: 27.9km/h


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