2012年7月23日月曜日

— キレた日 —




南陽市の地元新聞の取材協力をしていた時、ある男の子が近寄ってきてこう言った。
「僕も一緒に次の街まで走る。」
そう言ってくれた人は過去にたくさんいたけど、結局みんな口約束だけで実行した人は一握りだった。
中国の友達は真剣に約束を果たそうとする人達が多い。ただ残念ながらなぜ彼らの願いが叶わないかというと、最後の最後に親が出てきてストップを掛ける。以前にもブログに書いたが、子供の自由な思想を妨げる中国お教育ママの過大圧力というやつだ。
ある湖北省の女の子は18歳の誕生日プレゼントに、親に自転車は自分で買うから僕と一緒に走る許可が欲しいとお願いをしたらしい。結果はパパの壁は越えたがママの壁が厚かった。

漢川のホスト(泊まらせてくれた人)の家の高校生は次の街AnLuまで一緒に走ると言って来てくれた。いつもより遅めに走ったのだが彼女は時速8km前後のみごとな走りで、気づくと遥か後ろにいることが何度もあった。僕が後ろから着いて行く形でその後も走ったのだが、10km地点でお尻がギブアップ
お昼を一緒に食べてハグして引き返した。
家に帰る道がわからなくなりパトカーに乗せてもらったと聞いたのはその日の夜だった・・。警察が助けたこともまたビックリだ・・。ついでに警官は僕の話をしたら夕食をおごってくれたらしい。うん、何か裏あるよコレ。。



南陽を離れる前日、最初の彼に連絡した。
「明日離れるよ。ルートも決まった。」
出発の時間を伝え、翌朝また会う約束をして別れた。
朝、荷物をまとめ、歯を磨いているとまず泊まらせてくれた大学の英語の先生が来た。それから10分、彼から電話が来た。
「今どこ?このマンション?下にいるよ。」
4階の窓から下を見下ろすと彼が立っていた。

うん?・・ちょっと待て何か大きく彼のTシャツに書いてあるぞ。
「○○諸島は中国固有の領土!」
さらに背中には、
「我が国の○島返せ!」
とマジックで書かれていた。

あちゃ〜・・。
まさかのバカ野郎だった。

もう電話している段階から僕はキレていた。
「おい。服に何書いてある?」
英語がダメな彼はOKOKとだけいいながら上がって来た。

言い訳無用。部屋に入ってくるなり、僕が言う。
「君とは一緒に走れない。」

彼はこう言う。
「この写真を撮って日本人に見せてわからせて。まず両親に見せて、中国のだって教えてあげて。」・・・は?

あのね、そんな島とか政治とか戦争の話をする為にこの旅をしているんじゃないんだよ。諸島?俺が知るかそんなの。くだらない争いのクソ話する為に中国にきたんじゃないよ?そのTシャツ着て走りたいなら、自分一人でどうぞ。」「君と一緒には走れない。」

その後も僕の説教は15分ほど続いた。良くない言葉を通訳してくれたAO先生、ごめんなさい。同じ中国人でも平和を愛するAO先生は応戦してくれた。

いるんだこんなバカ。新聞やテレビ、ネットではよく目にする書き込みだけど、大声で広く騒げばなんとかなると思っている人達がほとんどで、実際のとこ皆気が小さくて行動には移せない。オンラインのチャットや掲示板などバーチャルの世界では別人のように汚い言葉を並べる一方、リアリティーの世界では無口で人とのコミュニケーションも取れない。別人というか、別名を使っているのだけれど。本人達がよくわかっている問題。
でも実際にこんなわかりやすい反日に会ったのは始めてだった。

話はよく聞いていた。
武漢でお化け屋敷を経営している知り合いの日本の男性は店に向かって汁の入ったラーメンのどんぶりを投げられた。

そっちの色が強い南昌という街にある有名な大きなカフェにはこう書かれている。
「ペットと日本人はお断り。」

他にも非人道的なことはたくさん聞いているけど、そんなクソ書きたくもない。


一度日本に来てごらん。こんなヒドイ事する人、いないから。
島が盗まれたのね?ならもっと人々の生活にとって大切なもの、自転車や携帯、財布、パソコンが盗まれることは大した事ないの?いやそんなこと無いでしょ。友達は自転車8台盗まれて、その度に半泣きで町中を歩き回って探したそうだよ。一度も見つかっていない。盗まれた物が売られている各街の「闇市」の存在と場所も皆わかっていて、それを平気で窃盗犯と共に野放しにしているこの親方の体制、怒りの矛先はそっちでしょ。

今日もお昼食堂で食べていたらトラックドライバーがビール2瓶飲んでそのまま大きいの運転して行ったよ。そうして去年秋、7歳の女の子が撥ねられて、さらに撥ねられて。でも18人の通行人が1m隣を歩いていたにもかかわらず誰も助けず見殺しにした。
「領土」とやらを心配するならまず今の「領土」の中で起こってしまっている問題にその眼を向けるでしょ。

「私してないし。」じゃないよ。

もっと言いたい事は一万文字くらいあるけど、今日はここまでにしよう・・こんなこと書きたくない。

その男の子、学生に国際政治を教えている大学の教師だった。
一体何を教えているんだろう。戦争か。身震いがする。


他の大勢の心優しい中国人の面子を潰すようなことはやめて欲しい。



すいません、「キレた日」なのでまたこういう厳しいことも書かせて頂きました。
もう時期的にもいい頃かなと。



ところで渋谷のスクランブル交差点でこちらの国と同じ党が演説をしていたとき、通り過ぎた欧米人ビジネスチャリダー達が中指を立てながら消えて行った。欧米じゃよく見られる光景だ。

アンパンマン号に乗っている以上、ヒドいモノをみても中指ではなく「親指」を立てて笑顔で挨拶を心がけている。それ故、「keiさんは怒る時あるんですか?」とよく聞かれる。
はい、汚い事・間違っている事には怒ります。日本人とか中国人とかナショナリティー関係なく。

以前まだ江西省のどこかの街にいた時、大勢の人々と大きな交差点を渡っていた。すると隙間を見てタクシーが突っ込んで来た。もちろん信号無視だ。あろうことか、歩行者のおばさんを撥ねそうになり、おばさんは「キャッ!!」と言いながら身をかわしたがハンドバックに当たって吹っ飛んだ。タクシーはそのまま逃げる。少し遠くで見ていた僕はブチキレた。超全速力でペダルを漕ぎタクシーを追いかけて前付けして止め、ボンネットに向かって勢い良く「ボコッ!!」と殴った。
一瞬周りの時間が止まった。
キレて我を忘れていた僕も、戻った。
すると周囲はビックリな空気の中にいながらも拍手が聞こえてきた・・。



アンパンチだばかやろう。








facebook: (keiichiro kawahara,河原啓一郎) http://www.facebook.com/coucou.kei


2 件のコメント:

  1. 読んでても腹立たしいから、その場にいたら…(*_*)
    この問題では最近、個人的に辟易してます。領土の中で起きている諸問題のリアリティー

    返信削除
  2. アンパンチですよねー。
    それかゴムゴムのマシンガンです。ごむごむの〜

    返信削除